美容サロン経営で利益が出ない原因は固定費?改善ポイントを解説

1.美容サロン経営は「固定費の見直し」が重要

美容サロンを経営していて「売上はそこそこあるのに、なぜか利益が残らない…」と感じたことはありませんか?
その原因の多くは「固定費」にあります。家賃や人件費、広告費などは毎月必ず発生するため、売上が安定していても固定費が高すぎると利益率がどんどん圧迫されてしまいます。

特に最近は、材料費や光熱費の高騰、スタッフの給与水準の上昇、さらには広告費など、美容サロン経営を取り巻く環境は厳しさを増しています。
こうした中で利益を確保するには、単に売上を伸ばすだけでなく「固定費をどうコントロールするか」が経営改善のカギになります。

本記事では、美容サロン経営における主な固定費の内訳を整理したうえで、具体的にどのように見直せば利益率を上げられるのかをわかりやすく解説していきます。
数字が苦手な方でもすぐ実践できる内容になっていますので、ぜひ経営改善に役立ててください。

2.美容サロン経営における固定費とは?

美容サロン経営を考えるうえで欠かせないのが「固定費」「変動費」の違いを理解することです。
固定費とは、売上の増減にかかわらず毎月必ずかかる費用のことです。
たとえば、店舗の家賃やスタッフの基本給、リース代などは来店数に関係なく発生します。
一方で、変動費は売上に比例して増減する費用のことを指します。
代表的なのはカラー剤やパーマ液などの材料費で、施術件数が増えればその分コストも増えます。

美容サロンにおける代表的な固定費は以下のとおりです。

  • 家賃:立地によって大きく差が出るが、売上の10%以内が理想とされる
  • 人件費:スタッフ給与や社会保険など。売上の40~50%が目安
  • 光熱/水道費:シャンプーやドライヤーなどで消費が多い
  • 広告費:予約サイト掲載料やネット広告費。ホットペッパーに依存すると固定費が膨らみやすい
  • リース・ローン代:セット椅子やシャンプー台、POSシステムなどの分割払い
  • 保険・雑費:各種保険料、通信費など

これらの固定費は、一度契約してしまうと毎月同じように出ていくため、売上が下がっても支払い続けなければなりません。
そのため「売上はあるのに利益が残らない」という状況は、固定費の比率が高すぎることが原因になっているケースが多いのです。

3.固定費を見直すメリット

美容サロン経営で固定費を見直すことは、単なる「節約」ではありません。
経営全体の健全性を高め、利益を最大化するための重要な経営戦略です。具体的には、以下のようなメリットがあります。

メリット①利益率が上がる
売上を大幅に伸ばすのは簡単ではありませんが、固定費を削減すれば、同じ売上でも利益が大きく残ります。たとえば、毎月の広告費を5万円削減できれば、その分が丸ごと利益になります。つまり「1円の経費削減=1円の利益増加」と直結するのです。

メリット②キャッシュフローが安定する
固定費が多いと、売上が少し下がっただけで資金繰りが苦しくなります。
反対に固定費を抑えると、毎月の支出が軽くなり、少し売上が減っても赤字に転落しにくくなります。特に繁忙期・閑散期の差が大きい美容業界では、固定費の圧縮が資金繰りの安定に直結します。

メリット③経営の自由度が広がる
固定費を見直すことで余裕資金が生まれれば、そのお金を「攻めの投資」に回すことができます。たとえば新しい商材の導入、内装リニューアル、SNS広告へのチャレンジ、スタッフ教育など。無理に節約ばかりせず、将来の成長につながる使い方ができるようになります。

メリット④精神的な安心感が得られる
毎月の支出が少ないほど「売上が落ちてもなんとかなる」という安心感が生まれます。経営者が資金繰りに追われて余裕を失うと、スタッフやお客様にも悪影響を与えかねません。固定費の見直しは、経営者のメンタル面にもプラスになるのです。

4.美容サロン経営における固定費削減の具体的な方法

固定費の見直しは、いきなりすべてを削る必要はありません。まずは大きな割合を占める項目から優先的に手をつけるのが効果的です。ここでは、美容サロン経営で特に重要な5つの固定費について、具体的な削減方法を解説します。

4.1 家賃の見直し

美容サロン経営で最も大きな固定費のひとつが家賃です。売上に対して10%以内が理想とされます。たとえば月商200万円なら、家賃は20万円以内が望ましいという計算です。
もし現状でこの割合を大きく超えている場合は、以下のような対応を検討できます。

  • 更新時にオーナーへ交渉して賃料を下げてもらう
  • 立地や広さを見直し、移転を検討する
  • スペースを縮小し、無駄な坪数を減らす

「駅近一等地=集客できる」とは限りません。SNSや紹介で集客できる時代だからこそ、家賃に見合った立地かどうかを冷静に見極めることが大切です。

4.2 人件費の最適化

人件費は売上の40〜50%が目安とされます。
これを超えると利益が圧迫されやすいため、以下のような工夫が効果的です。

  • 業務委託やパートを活用:閑散期に固定給を払い続けるリスクを抑えられる
  • 生産性を高める教育:単価アップや施術スピード改善で「売上÷人件費」の効率を上げる
  • 予約管理の最適化:シフトと来客数をマッチさせ、無駄な人件費を削減

ただし、人件費を安易に削りすぎるとスタッフの離職につながります。
大切なのは「コストを下げる」だけでなく「同じ人件費でより高い売上を生む仕組み」に変えていくことです。

4.3 材料費のコントロール

カラー剤・パーマ液・トリートメントなどの材料費は、売上の8〜12%が適正と言われます。
ここを抑えるには以下のような工夫が効果的です。

  • 仕入れ先を比較し、価格交渉や共同購入を検討する
  • 使い残しを減らすために小ロット購入や適量管理を徹底する
  • 原価率の低いメニューを強化し、売上全体のバランスを調整する 

たとえば「髪質改善トリートメント」など単価の高いメニューを取り入れることで、原価率を抑えつつ利益を確保できるケースもあります。

4.4 広告費の見直し

ホットペッパーなどの予約サイトに毎月数十万円を支払っているサロンは少なくありません。
確かに新規集客には強いですが、広告費に依存しすぎると固定費が膨らみ、利益が出にくくなります。そこで、以下の取り組みを並行して行うのことをおすすめします。

  • SNS活用(Instagram/TikTok)で低コスト集客
  • LINE公式アカウントでリピーターを育成
  • Googleビジネスプロフィール(MEO対策)で地域検索から集客

「広告費を削ってもリピーターで売上を維持できる状態」を目指すことが、長期的な利益率改善につながります。

4.5 光熱費・その他経費の削減

美容サロンはシャンプーやドライヤーで水道・電気の使用量が多く、光熱費は節約を心がける必要があります。以下の工夫で負担を軽減できます。

  • 節水シャンプーヘッドや高効率ドライヤーを導入する
  • LED照明への切り替えで電気代を削減する
  • 電力会社のプランを比較して安いプランに乗り換える
  • 使っていないリース契約やサブスクサービスを整理する

小さな工夫でも年間で数十万円の削減につながることがあります。

さいごに

いかがでしたか?美容サロンにおける固定費とは?・固定費を見直すメリット・固定費を削減する方法がご理解頂けたかと思います。
固定費の削減は「コストを切る」ことではなく、「利益を増やす」ための経営改善です。
特に家賃・人件費・広告費の3つは固定費の割合が大きいため、まずはこの領域から見直してみることをおすすめします。