
美容師の職業とは、技術と知識、そして接客力を活かし、人を綺麗に仕上げることとされています。そして、顧客満足度を高めていくことが使命と言ってもよいでしょう。
そのなかに、無理な注文をしてくるお客様もいることが事実で、その時が美容師の実力が試れるときでもあります。
今回は、無理な注文をしてくるお客様への対応方法などを解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
1.美容師でよくある無理な注文

現在でも美容師が無理な注文を受けてしまうというケースがあります。お客様からみれば美容師はプロなのだから、どんな注文でも受け入れてくれると思い込んでいる方が少なくありません。美容師はお客様からの注文を叶えるため、技術を駆使しながら施術をしていますが、できなこともあるのは事実です。では、美容師にとって無理な注文とはどのようなものなのかみてみましょう。
1.1 優柔不断なお客様
美容師として長年働いていると、優柔不断なお客様に遭遇したことが一度や二度の経験があるのではないでしょうか。
- イメージチェンジしたいけど、やってみたいヘアスタイルが決まらない
- 短くしようかどうしようか、ずっと悩んでいる
- 美容師がスタイル提案しても、リスクを恐れ過ぎてなかなか決められない
- カラーリングの色が決まらない
優柔不断なお客様の例を挙げると、心配性であることや変身願望があるのにリスクの恐れなどが原因で迷い過ぎて時間だけが経ってしまっているようです。
お客様の決断力が不十分な場合には、美容師が良い方向へと誘導してあげることで迷いが無くなることが多いようです。
1.2 実現が難しいで希望スタイル
お客様の希望通りのスタイルに仕上げるのが、美容師としての役目です。
しかし、難しい注文でも技術力でカバーできることがありますが、直感的に無理だと感じたら実はできないことも少なくありません。
たとえば、なりたい希望のスタイルを写真などで見せてもらえることは助かるですが、お客様の髪質や顔の形などが真逆の注文を受けてしまうと難しいと思ってしまうのが本音のようです。どのように似合わせたらよいのか美容師は迷ってしまうことが多いです。
実現が難しいスタイルの場合には、お客様の希望スタイルを取り入れながら、他の提案も必要となってくるでしょう。
1.3 施術と時間が伴わない注文
美容院は、お客様を綺麗に仕上げるとともに、リラックスをしてもらうための空間でもあります。時間の過ごし方(流れ)というのは非常に重要となってきます。
一般的に美容院では、カウンセリングも含め施術内容をおおよその時間を決めて予約の調整を行っています。
しかし、お客様によっては無意識ながらも以下のような時間の使い方をされていらっしゃることがあります。
- 予約時間に連絡せず遅れて来店
- 急がせるまたは終了時間を指定する
- 施術メニューを複数指定で○○時までに終わらせたいと要求してくる
- ヘアスタイルの要求がない
- メニューの追加注文
- 頭を動かす、足の組み換えで身体が動くなど落ち着かない
最近は、遅刻されたお客様には「予約時間より〇〇分過ぎたら施術ができないことがある」と掲示している美容院が多いのですが、守ってくれないお客様もいらっしゃいます。
また、スタイルが決まらない、頻繁な身動きなど、スムーズに施術ができないこともあります。施術時間を短縮してしまうと、お客様の満足度が下がってしまう危険性があります。
1.4 お任せなのに注文が多い
お客様の「お任せオーダー」は、美容師の技術力が試されるとも言われています。
信頼しているからこそできる注文なので、なりたくないスタイルさえ伝えてもらえれば施術がしやすいです。
しかし、どんなスタイルでもいいとお任せしているわりには注文の多いお客様もいらっしゃいます。
- 仕上がりのスタイルが納得いかない
- 施術途中で「こうしてほしい」など細かい指示
- 希望スタイルが気に入らずイラついている様子
お任せ注文は、施術前のヒアリングは必要です。丸投げ注文されてもお客様のなりたいスタイルを聞きだす会話術も大切になるでしょう。
2.美容院で無理な注文の対応

長年のお付き合いのあるお客様でも、何らかの原因である日突然来店されなくなってしまうことがあります。無理な注文が原因で、美容師が思い通りスタイルにできずお客様が来店しなくなったというケースがあります
ここでは、無理な注文をされた時、どのように対応したらいいのかみていきます。
2.1 イメージスタイルの共有
美容院でお客様のスタイルイメージを共有するということは、無理な注文でも互いに把握できます。
◆念入りなカウンセリング
スタイルのイメージを聞き出すまでカウンセリングを行う
◆視覚的な具体像を共有
複数枚のヘアカタログ画像(写真)を見せて、実際の具体像を共有
◆抽象的なイメージを言葉で表す
「ふんわり」「シャープ」「柔らか」などの言葉でイメージを作るとわかりやすい
イメージの共有は非常に重要です。無理な注文をするお客様を現実のイメージに呼び戻してあげながら、理解を得てもらうと良いでしょう。
2.2 代替案の提示
美容院において、無理な注文というのは多数ありますが、実力を試されるときでもあります。ただし、お客様が望んでいるヘアスタイルが時間的に無理だったり、希望するスタイルの髪の長さや質の違いなどで厳しいこともあります。
無理な注文による認識の不一致によってトラブルの原因になることがあるので、時間的な注文は断ることも大切です。その場合、具体的な代替案を提示することが必要です。
ただし、代替案の提示はお客様にとって注文を否定されているように感じとれてしまうことがあります。なぜ難しいのか納得するまで説明をして、気分を害させないようにプロとしての代替案を掲示すると良いでしょう
2.3 リスクのある注文であることを伝える
美容院での無理な注文のなかには、お客様へのリスクが伴ってしまうことがあります。
「こんなスタイルにしたい」「このカラーにしたい」「パーマ・縮毛をしたい」など、さまざまな注文があります。リスクに関連した対応例をあげてみました。
▼イメージ通りの仕上がりにしてほしい
- お客様の髪質や毛量、頭の形となりたいスタイルの相違を理解してもらう
- 自分自身でスタイリングするコツを教えてあげる
- 必ずしもイメージ通りにはならない可能性もあることを伝える
▼希望とするカラーにしてほしい
- お客様の髪質(色)によって色の出方が変わってくることを伝える
- カラーとパーマを同日施術する場合の髪へのダメージを伝える
▼希望通りのパーマ・縮毛をしたい
- 肌の弱いお客様にとって強い刺激を与えてしまう可能性がある
- 髪質によってパーマがかかりやすい、かかりにくいことがある
- 特にパーマ・縮毛は自分で行うスタイリング方法によってスタイルが変わってくる
リスクを伴う施術にはコミュニケーションが大切です。下記のように、最後にはお客様の判断に委ねると良いかもしれません。
- ヒアリングを行う
- 施術によるがメージなどのリスクを理解してもらう
- なるべくリスクを避けるような提案をしてみる
- 最後の判断はお客様に委ねる
3.無理な注文でも場数を踏めば活かされる!
新人の美容師がお客様から無理な注文を受けてしまうと、どうしたらいいのか困ってしまいます。また、今後のオーダー自体を怖いと感じてしまうことがあります。
特に美容師という職業は、直接お客様の髪に触れて施術するので、不快を与えてはいけない、また、仕上がりのイメージが希望通りに(または近づけなければならない)しなくては、美容師の評価が下がってしまいます。
どのようなオーダーでも、先ずはお客様の状態(コンディション)をみながら、施術する判断をしなければなりません。
技術力はもちろん、コミュニケーション能力も重要で、場数を踏んでいくうちに無理な注文でも適切な対応力が身に付くようになります。
さいごに
いかがでしたか。無理な注文を受けた時の対応方法を中心に解説しました。無理な注文でも最初から否定をするのではなく、先ずコミュニケーションしながらお客様の希望するスタイルに近づけるようにすることこが客離れを防ぐことができます。
また、注文に対して難しいということを、会話術で理解してもらえることも大切ですね。
